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TAKENORI MIYAMOTO / Portfolio

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ABOUT

Photo: Isao Negishi

宮本武典 / TAKENORI MIYAMOTO

キュレーター/アートプロデューサー。1974年奈良県奈良市生まれ。武蔵野美術大学大学院で絵画を学び、海外子女教育振興財団派遣教諭(泰日協会学校/バンコク)、武蔵野美術大学パリ賞受賞により渡仏(Cité Internationale des Arts)、原美術館学芸部アシスタントを経て、2005年に東北芸術工科大学(山形市)へ。現在、同大学主任学芸員・大学院准教授。
展覧会やアートフェスのキュレーションの他、地域振興や社会貢献のためのCSRや教育プログラム、出版活動などをプロデュース。企業やNPO、行政と公共施設、教育機関のパートナーとして、クリエイターと地域資源・ものづくりの技術・伝統文化とのコラボレーションを推進し、その芸術的な可能性や社会的役割を探求しています。
「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」のプログラムディレクター、とんがりビル「KUGURU」キュレーター、東根市公益文化施設「まなびあテラス」芸術アドバイザー。2017年9月にデザイナーの小板橋基希(akaoni)と、クリエイティブユニット「kanabou」を結成。

CONTACT

宮本武典 / TAKENORI MIYAMOTO

Kanabou

〒990-0042 山形県山形市七日町2-7-23 とんがりビル2F 株式会社アカオニ内
2-7-23 Nanukamachi Yamagata City, Yamagata, 990-0042, Japan
akaoni Inc.
info@kanabou.com

東北芸術工科大学大学院 宮本武典研究室

〒990-9530 山形県山形市上桜田3-4-5
Takenori Miyamoto lab.
3-4-5 Kami-Sakurada, Yamagata City, Yamagata, 990-9530, Japan
Tohoku University of Art & Design
miyamoto@aga.tuad.ac.jp

Photo: Kohei Shikama

NOTE

ぽっぽの話

笹野一刀彫の戸田寒風さんに、米沢の郷土玩具「お鷹ぽっぽ」の制作行程を見せていただいた。あぐらをかいた寒風さんの懐のなかで、コシアブラの丸木が、みるみる鳥の姿に削られていく様子に感嘆しながら、僕はふと「お鷹ぽっぽの〈ぽっぽ〉って、尾っぽって意味ですよね?」と確認するように質問してみた。すると、寒風さんから意外な答えがかえってきたのである。

「いや、これはアイヌ語だ。〈ぽっぽ〉はアイヌ語で〈おもちゃ〉って意味だよ」。

古代の蝦夷はアイヌ語系の言語を話していたらしい。調べてみると、山形県内にはアイヌ語由来をされる地名がたくさんあることがわかった。「左沢(あてらざわ)」や「遊佐(ゆざ)」などがそうである。自然界の精霊を敬い、自然とともに生きるアイヌの人々の暮らしが、かつてここ山形でも営まれていたことを知り、不思議な心持ちになった。

朝日連峰の広大なブナの森で、立派な髭のアイヌの狩人が、獲物を待つ長い時間の手慰みに、そこらの丸木をひろって、愛する我が子のために「ぽっぽ」を刻みはじめる。狩りは空振りに終わったが、コタン(村)に戻った彼は、チセ(住居)から飛び出すように出迎えてくれた小さな少年に、懐から「ぽっぽ」を取り出して与えた。少年は大喜びだ。そのとき、彼の手のひらに握られた「ぽっぽ」は、どんな姿形をしていだろうか。神話の神々か、森の獣たちか。それともご先祖たちの姿だろうか。

そんな空想を楽しんでいるうちに、丸木のてっぺんに鳥がのった「お鷹ぽっぽ」が、クイーンシャーロット島のトーテムポールと重なって見えてきた。この島の有名なトーテムをつくったカナダの先住民・ハイダ族の意匠は、アイヌのそれとよく似ているといわれている。彼らの創造神話はワタリガラスを主役とし、またハイダ族を含む北アフリカ・インディアンのトーテムポールは、柱の一番上に鳥(サンダーバード)が彫られることが多いという。見ようによっては、巨大な「お鷹ぽっぽ」のようなものではないか。

山形の家庭なら、床の間や茶箪笥のなかに、ごく普通に置かれている「お鷹ぽっぽ」が、山形から北海道、樺太、カムチャッカ半島、アラスカをぬけクイーンシャーロット島へと、父祖たちの偉大な足跡をたどる、想像の旅を飛んでいく。そのかすかな痕跡が「ぽっぽ」という愛らしい響きに残されていることが、じんわりと嬉しい。(産経新聞コラム「みちのおくへ」/2017年11月掲載)