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TAKENORI MIYAMOTO / Portfolio

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ABOUT

Photo: Isao Negishi

宮本武典 / TAKENORI MIYAMOTO

キュレーター/アートプロデューサー。1974年奈良県奈良市生まれ。武蔵野美術大学大学院で絵画を学び、海外子女教育振興財団派遣教諭(泰日協会学校/バンコク)、武蔵野美術大学パリ賞受賞により渡仏(Cité Internationale des Arts)、原美術館学芸部アシスタントを経て、2005年に東北芸術工科大学(山形市)へ。現在、同大学教授・主任学芸員。
展覧会やアートフェスのキュレーションの他、地域振興や社会貢献のためのCSRや教育プログラム、出版活動などをプロデュース。企業やNPO、行政と公共施設、教育機関のパートナーとして、クリエイターと地域資源・ものづくりの技術・伝統文化とのコラボレーションを推進し、その芸術的な可能性や社会的役割を探求しています。
「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」のプログラムディレクター、とんがりビルキュレーター、東根市公益文化施設「まなびあテラス」芸術監督。企画・編集ユニット「kanabou」としても活動中。

CONTACT

宮本武典 / TAKENORI MIYAMOTO

Kanabou

〒990-0042 山形県山形市七日町2-7-23 とんがりビル2F 株式会社アカオニ内
2-7-23 Nanukamachi Yamagata City, Yamagata, 990-0042, Japan
akaoni Inc.
info@kanabou.com

東北芸術工科大学大学院 宮本武典研究室

〒990-9530 山形県山形市上桜田3-4-5
Takenori Miyamoto lab.
3-4-5 Kami-Sakurada, Yamagata City, Yamagata, 990-9530, Japan
Tohoku University of Art & Design
miyamoto@aga.tuad.ac.jp

Photo: Kohei Shikama

NOTE

種まく日々

2年にわたって準備してきた地域芸術祭「第3回 山形ビエンナーレ」が、いよいよ来月開幕する。嬉しいことに、今日までに運営ボランティア登録は250人を超え、毎月2回木曜の夜に、東北芸術工科大学に集まって、展示する作品や、招待アーティストたちの活動について、企画を担当する僕から登録メンバーに説明する勉強会を開いている。
毎回250席ある講義室がほぼ埋まるのだが、たくさんの学生たちにまじって、小さなお子さんを連れたお母さんや、仕事帰りの社会人の姿もある。なんと東京から、高速バスで通ってくる美大生もいる。
僕は大学教員なので、普段から大勢を前に話をするのは慣れているが、単位もバイト代も出ないのに、熱心に聴いてくれるたくさんの顔を前にすると、ありがたくて嬉しくて、胸にこみ上げてくるものがある。
これだけの若者たちが、この芸術祭に関わることで触発され、将来それぞれが暮らす地域で、創造的なアイデアをもって活躍してくれたら、地方はもっと面白くなるはずだ。アートを通して、東北の美しさと地域文化の魅力を伝えたいと、普段の授業よりもスライドづくりに力が入る。
先週の勉強会では、制服姿の高校生が2人、学生に混じって座っていた。カラフルな美大生たちのなかで、白いセーラー服は花畑の鶴のように目立った。平日の夜だし、まわりに保護者らしい姿もなかったので声をかけると、2人とも高校1年生で、自分で勉強会のことを調べて、学校の帰りに思い切って来てみたという。
「社会人でも大学は敷居が高って尻込みする人が多いのに、すごいね」と声をかけると「山形ビエンナーレはいつも観る側だったので、今回はつくる側に入りたかったんです」とハキハキと答えてくれた。 よく話を聞いてみると、山形ビエンナーレ芸術監督で、絵本作家の荒井良二さんと僕が、8年前に開催したスケッチ大会にご両親と参加したそうだ。当時小学2年生。記憶のなかからおかっぱ髪の女の子がよみがえった。震災を挟んでこの8年間、僕たちには駆け足で過ぎ去った年月だけれど、次世代への種はまかれていたのかと勇気づけられた。
大学主催のアートイベントに、地元の高校1年生が自分の意思で参加するというのは、山形ではなかなか起こりにくいことだ。また、ひと昔とちがって、多くが奨学金を借りていて、就活のプレッシャーと日々のアルバイトで忙しい学生諸君が、250人もボランティアに参加してくれることが、どんなにすごいことか、大学教員だからこそ、よく分かっている。運営責任者として彼らの「学びたい、出会いたい、つながりたい」という期待にしっかりと応えたい。それはそのまま、僕にとっての「地域づくり」の最前線だと思うのだ。(産経新聞コラム「みちのおくへ」/2018年8月掲載)