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TAKENORI MIYAMOTO / Portfolio

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『私東京』

『私東京』(私家版)

発行日:2022年4月19日
ページ数:126
サイズ:B5判『私東京』出版記念展
執筆:東京藝術大学大学院生 他(赤星りき、大橋文男、川窪花野、川窪亜都、辻明香里、儲靚雯、永島悠伊、見山陸生、宮林妃奈子、吉原遼平)、森岡督行、宮本武典
責任編集:宮本武典
デザイン:梅木駿佑
協力:東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻、森岡書店

クリエイティブディレクション/キュレーション/編集

本書は2021年4月から2022年3月までの1年間、東京藝術大学大学院で僕が開講した課外授業の参加学生たちの絵と文をまとめたもの。僕は教師というより、キュレーター・イン・レジデンスといったかたちで、上野公園にある藝大の絵画棟7階に1年間限定でアトリエを構え、そこに週1回やってくる学生たちと、この自主制作の画文集をゆっくり編んでいきました。単位は出ない課外授業で、テーマの設定、取材、執筆、作画、校正、展示会までの全行程を授業としておこないました。
はじめは、コロナ禍の「東京」について、絵と文で各々が活写するルポルタージュのアンソロジーにするつもりでした。しかし、学生たちの取材活動がはじまって早々、僕はルポとしてこの企画をまとめることを諦めました。というのも、学生たちが街から持ち帰ってくる原稿はいつも、はじめは「都市」について描写しているのに、いつの間にか「私」についての記述に還ってくるのです。何かを観察し、調査し、インタビューしていても、そこで語られているのはいつも、彼ら自身の東京物語なのです。
長引くパンデミックの影響は、あったと思います。「私」と「東京」の間に挿入されたソーシャル・ディスタンスが、他者との交歓や衝突よりも、孤立や内省を促進させる状況があったのでしょう。学生たちが大学に持ち帰ってくる「東京」は、どれもこれも「自画像」にしか読めず、しかしそれが僕はとても面白いと思いました。むしろ上野の「藝大生」だから書き残せる「私=東京」の物語ではないかと。(中略)
「私東京」。ふいに思いついたこの3文字について、中国からの留学生に「あなたにはどう読めるか」と意見を求めました。彼女は「ユニークな東京、面白い東京、他のどこにもない東京ですね」と教えてくれました。私東京、それはきっとあなたのなかにもある。ぐるぐると弧を描き続ける山手線のように、僕たちはそれぞれの「私東京」という名のインナーサークルを生きている。この本のような試みは一時「私」から降りて「誰か」の車窓から、東京を眺めてみること。
いま僕はこの本を編み終え、乗り換え可能な「いくつもの私たち」の時代を生きていることに気づきました。そのような交感し響き合う小さな物語たちをもっと読んでみたい、もっと編んでみたいといま強く思っています。(巻頭言より)

●私東京/目次
01|儲靚雯「東京ルール ― 今日は化粧してませんが」
02|永島悠伊 「その扉」
03|大橋文男 「アキラいませんか?」
04|川窪花野・亜都 「ディスタンス中央線」
05|吉原遼平 「こわいもの」
06|宮本武典 「るつぼ ―― 舞踏譜のレッスン」
07|森岡督行 「次はショートケーキに止まります」
08|見山陸生 「不忍池で鉄の蓮の笛を吹く」
09|赤星りき 「となりの人からもらったミカンが転がってっちゃうくらいのナナメ」
10|宮林妃奈子 「フライング・レター」
11|辻明香里 「東京喫茶オートマティズム①~⑤」

●『私東京』出版記念展
会期:2022年4月19日[火]→24日[日]13:00~19:00
会場:森岡書店(東京都中央区銀座1丁目28-15 鈴木ビル)
ゲストレビュアー:諏訪敦、ナカムラクニオ