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TAKENORI MIYAMOTO / Portfolio

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NOTE

「ひと頁に、ひと文字」

四肢が不自由な豊子さんが、カナタイプライターのひと文字に託した思いを、どうすれば〈書〉で表現できるか? 華雪さんの字体への深い洞察を頼りに、対話を重ねてきました。その結果、ひと頁にひと文字のみ、それらが積層して1つの詩を成すという造本に至りました。
330枚の紙束からなる「テガミ」を、ひと文字ずつめくる。カタカナの詩は読みやすくはない。しかし、その〈めくる〉所作と筆致と意味とを根気よくつなぎながら、〈理解しようとする〉ことの先に、赤塚豊子という人のほんとうの身体と思考が立ちのぼってくるのではないか? という、この本はひとつの仮説です。
そして本書ははじめ、東京パラリンピック2020にあわせて出版されるはずでした。しかし、コスモポリタンたちが歓喜したはずの真夏の東京はパンデミックの渦中にあり、誰しもが〈それ以前〉とは異なる日常を生きはじめています。
「ワタシハ ナゼ コンナアテモナイテガミヲ カイテイルノダロウ」。
豊子さん、あなたの呟きが50年の時を経て、ひと文字、ひと文字、いま切実に、私たちに近づいてくるのを感じています。(『テヲ フル〓〓ワシテ カイテユク/赤塚豊子と華雪』出版と展示によせて)