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TAKENORI MIYAMOTO / Portfolio

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NOTE

『illustration 特集 荒井良二 ミロコマチコ』によせて

「荒井良二の山形じゃあにぃ2010」から、「山形ビエンナーレ2018」までの8年間、荒井さんの故郷山形で、一緒に芸術祭をつくってきました。
その間に東日本大震災が起こりました。津波や原発で破壊された町を、共にめぐった日々のことを話すと、今だ二人とも、眼に涙が滲んできてしまいます。
3.11後の作品、『あさになったので まどをあけますよ』、『なんていいんだ ぼくのせかい』、『はじまりゲンシくん』、『イノチダモン』、『きょうは そらに まるいつき』、そして『山のヨーナ』…これらの物語の背景にある、現実の、傷ついた東北の風景を僕は知っています。
でもシャイな荒井さんは、簡単に言葉を選ばない。いつも、どう伝えたらいいのか逡巡している。(優しいから)寄り道して、遠回りして、その過程が絵本という旅になっていく。
僕の中で荒井良二は、朝焼けの光に染まった風景画のなかで、悩みながらバスを待っている人。気がつけば僕も隣で、黄色いバスを待っていました。

『illustration 特集 荒井良二 ミロコマチコ』(玄光社)より転載